第17章 私の教養はお前に食い尽くされたのか

橘結衣はタクシーを拾い、病院へ向かった。

1階ロビーで、橘元太と鉢合わせする。

橘結衣は見えていないかのように、そのまま彼の脇をすり抜けた。

だが橘元太のほうは、橘結衣を見なかったことにはできなかった。

広い病院の中で、橘結衣の赤い安っぽいウィッグはやけに目立つ。奇抜な格好のすべてが、この病院の空気から浮ききっていた。

橘結衣のほうから声をかけてくる気配はない。橘元太は足を止め、彼女を呼び止めた。

「橘結衣」

橘結衣は振り返り、スモーキーメイクで縁取られた目で怪訝そうに彼を見る。

「何?」

橘元太は深く息を吸った。

「いつまでそんな反抗的な真似を続けるつもりだ」

紫の口...

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